隔離の文学 増補新装版 ハンセン病療養所の自己表現史
隔離の文学 増補新装版 ハンセン病療養所の自己表現史
著者:荒井 裕樹
発行日:2026年1月30日
ページ数:380p
価 格:3,300円(本体3,000円+税)
著者紹介:
(あらい・ゆうき)
1980年東京都生まれ。二松學舍大学文学部教授。文筆家。専門は障害者文化論、日本近現代文学。東京大学大学院人文社会系研究科修了。博士(文学)。著書に『障害と文学――「しののめ」から「青い芝の会」へ』、『凛として灯る』(ともに現代書館)、『生きていく絵――アートが人を〈癒す〉とき』(亜紀書房、のちにちくま文庫)、『障害者差別を問いなおす』(ちくま新書)、『車椅子の横に立つ人――障害から見つめる「生きにくさ」』(青土社)、『まとまらない言葉を生きる』(柏書房)、『感情の海を泳ぎ、言葉と出会う』(教育評論社)、『無意味なんかじゃない自分――ハンセン病作家・北條民雄を読む』(講談社)など。
2022年、第15回(池田晶子記念)わたくし、つまりNobody賞受賞。
2025年、第47回サントリー学芸賞(芸術・文学部門)受賞。
本書の内容:ハンセン病者への隔離政策が確立する1930年代から、軍靴響くアジア・太平洋戦争期を経て、民主主義を謳歌する1950年代まで――この激動の時代に、病者自身が描いた文学作品を研究・考察した10章に、新たに1章を増補しました。
ハンセン病者たちは、自分たちを抑圧し、抹消しようとする社会風潮や国家権力と、いかに向き合ってきたのか。また逆に、どのような言葉を駆使して抗してきたのか。
本書は、終生隔離という極限状況に置かれた者が、いかにして「抑圧された生命を生きる意味」を紡ぎだすのかという普遍的な問題に挑みます。
読みどころ:医学者でも社会運動家でもない著者は、まだ20代の院生時代、「文学研究」というパスポートのみを携えて、ハンセン病者のいる隔離施設に通い、当事者の話に耳を傾け、ハンセン病図書館の資料の海に身を浸し続けました。そんな日々を基礎にもつ学者の原点かつ集大成であり、当事者文学研究の先駆けです。
第5章 御歌と〈救癩〉
では、皇族による文学がハンセン病者の隔離政策にどのように機能したのかを、
第6・7章 ハンセン病者の戦争詩(前・後編)
では、美しく痛ましい具体的な作品を上げながら、本書は一貫して、
【文学とは、生命の砦(とりで)なのか、隔離の檻なのか】
を追究します。
刊行から15年を経て新資料を考察した、
第11章 ハンセン病療養所の性的少数者ーー船城稔美論
を増補しました。