<語学教師>の物語 日本言語教育小史 第一巻
<語学教師>の物語 日本言語教育小史 第一巻

著 者:塩田 勉
発行日:2017年10月30日
ページ数:480ページ
価 格:2800円(税別)
著者紹介
(しおだ・つとむ)1939年東京生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻は文体論と英語教育。イギリス、フランスの大学で応用言語学を研究。ニュージーランドのカンタベリー大学講師、早稲田大学語学教育研究所教授を経て所長。2004年から2010年まで早稲田大学国際教養学部教授を務め退職。現在、早稲田大学名誉教授。1999年来、「英語再入門」のクラスを担当する語学のリハビリと「多読授業」のプロ。教育の現場で長年、互いに心を開き相手を量りながら人間関係を構築する、語学本来の学習を展開した。主著『文学の深層と地平』、『英米文学の新しい読み方』(以上、早稲田大学語学教育研究所)、『言語と文学講義録――文学的直観のプラクティス』(国文社)、『言語学と文学史――文体論事始』(国際文献印刷社)、『おじさん、語学する』(集英社)、『作品論の散歩道――漱石からケータイ小説まで』(書肆アルス)など。
本書の内容
目次
序にかえて
Ⅰ 上 代 ―― 飛鳥時代
一 はじめに
1 〈語学教師〉の没落
2 〈語学教師〉とは何者なのか?
3 無くてはならぬ、というわけでもない――包装・通訳・〈語学教師〉
二 外国語教育史の基本的方法――語学も世につれ変化する――
三 日本最古の〈語学教師〉たち
1 『魏志倭人伝』――先駆者たちの痕跡
2 中国王朝国書――日本古代の外交官の記憶
3 『日本書紀』――古代〈語学教師〉たちの面影
4 聖徳太子の貢献
5 外来〈語学教師〉今来(いまきの)手(て)伎(ひと)たち
Ⅱ 上 代 ―― 奈良時代
一 はじめに
1 遣唐使の時代区分
2 遣唐使の構成
3 留学生の横顔
4 書物の伝来
二 日本で初めての大学
1 大学寮の設立
2 「学令」が定めたメソッド
3 中国語教育の成果を示す詩華集
三 「言霊信仰」以降
1 音博士が生まれた背景
2 素読のルーツ
3 『古事記』序文に現われた古代〈語学教師〉の認識水準
4 万葉仮名の発明
Ⅲ 中 古 ―― 空 海
一 はじめに
1 薬師寺と唐招提寺
2 空海伝説
3 『三教(さんごう)指(しい)帰(き)』序文
4 唐招提寺のソグド人
二 唐に渡った空海
1 真言密教の系譜
2 「福州の観(くわん)察(さつ)使(し)に請ふて入京(じつけい)する啓(けい)」
3 サンスクリット語を学ぶ
4 恵果阿闍梨から灌頂を受ける
5 『性霊集』に記録された恵果
三 帰国後の活動
1『請来目録』と『文鏡秘府論』
2「一般教養」のルーツ
3『秘(ひ)密曼(みつまん)荼羅(だら)十(じゅう)住心論(じゅうしんろん)』
4 綜藝種(しゅげいしゅ)智(ち)院(いん)の開設
5 真言と素読法
Ⅳ 中 古 ―― 最 澄
一 古代日本の外国語事情、補筆
1 はじめに
2 〈語学教師〉の原型(プロトタイプ)「音博士」の周辺事情
3 訳語/通事(をさ をさ)(通訳)たちの群像
4 中国語通訳養成の周辺
二 音韻推移をめぐって
1 言語文化的側面
2 古代日本語音は、どのように変化したか
三 中国における仏教経典
1 翻訳・研究史の概略
2 仏典漢訳の流れ
3 外来文化受容における「丸呑み主義」のルーツ
四 〈語学教師〉としての最澄
1 最澄の横顔
2 優(う)婆(ば)塞(そく)仏教の世界
3 「霊異記」的世界との決別
4 最澄、唐へ出発する
5 天台山に登る最澄
6 遣唐使が収集した大陸情報
7 帰国後の最澄
8 むすび
索 引
読みどころ
なぜか言語学者よりも一段低く見られる傾向にある<語学教師>――母語の異なる文化圏から知と感性を移植してきた<語学教師>の重要な役割と成果を、古今東西万巻の書を渉猟して展開、考察する。異端を受容し挑戦する精神を愛する、比類なき大研究。